「作る前からスライドの流れが決まらない」「デザインが整わず時間だけが過ぎる」──PowerPointのAI機能を知るだけで、このモヤモヤはかなり軽くなります。
本記事では、構成づくり→デザイン調整→原稿づくり→仕上げの順で、実務に効くAIの使い方をやさしく整理。明日からの資料づくりがスッと軽くなる“使いどころ”とプロンプト例をまとめました。
まずは全体像から。PowerPointのAIはおおまかに次の4領域をサポートします。
①構成づくり(アウトライン生成/要約・再構成)
②デザイン(スライドの体裁調整/レイアウト提案)
③原稿・図解(スピーカーノート生成/図解化/言い換え)
④仕上げ(誤字チェック/字幕・アクセシビリティ)
順番に使うと、迷いが少なく、行動のハードルが下がります。
これからの進め方
AIに任せるのは「0→1の叩き台」と「1→1.5の整え」。
最後の仕上げ(数値の正確性・語尾の調子・社内表現の統一)は人が行う、という役割分担を前提に使うのがコツです。
Step1:Copilotで“叩き台”を一気に作る(構成づくり)
まずはストーリーの骨組みをAIに作らせます。メモでも議事録でも、材料はラフでOK。
「何ページで、誰向けに、どのトーンで」が伝わると、叩き台の質がグッと上がります。
このメモをもとに、取引先向けの提案書アウトラインを作ってください。
条件:
・全12枚前後、導入→課題→解決策→効果→次ステップの流れ
・トーンは「落ち着いた丁寧さ」。専門用語は短く補足
・各スライドの想定タイトルと3つの要点、必要な図解の案も
Wordや議事録からスライド化する指示も便利です。元ドキュメントの章立てはできるだけ残すように伝えましょう。
添付の議事録から、意思決定者向けの要約スライドを作成。
条件:
・全8枚以内。1枚1メッセージ
・重要度順に並べる。不要な枝葉は削る
・各枚に「結論→根拠→次のアクション」を明記
Step2:デザインは“AIの提案+軽微な手直し”で時短
叩き台ができたら見た目を整えます。AIのレイアウト提案を使い、要素の強弱と余白を微調整。
ブランドの色・フォントは最初に指定すると、ズレが起きにくくなります。
このスライド群を読みやすく整えて。
条件:
・見出しは28pt以上、本文は16〜18pt
・1枚の要点は3つまで。不要な装飾は削除
・強調は太字とコントラストで。色はブランドカラー(#0052CC/#36B37E)優先
文字だらけのスライドは、要点化→箇条書き→図解化の順で。AIに「図解の型」を指定すると変換が安定します。
この長文を、図解前提で要点化してください。
・3階層の階段図(現状→打ち手→期待効果)
・各ブロックは15字以内。補足は脚注で
Step3:図解・画像・アイコンを“AIでサクッと”追加
テキストが整理できたら、図解やイメージを最小コストで足します。
アイコンやSmartArtの候補提案、代替テキストの自動生成も時短に効きます。
この3つの要点に合う図解案を3パターン出して。
・比較表/タイムライン/プロセス図のいずれか
・各図に入れる短いラベル案も
写真の意味付け(代替テキスト)もAIに任せてから、人が最終チェックを。
この画像の代替テキストを作成。
・誰にでも伝わる一文(40〜80字)
・固有名詞を避け、意図(何を示す写真か)を明確に
Step4:スピーカーノート・言い換えで“伝わる原稿”に
スライドは要点、ノートは物語。AIに「聞き手」「時間」「結論先出し」を伝えると、話しやすい原稿が出てきます。
言い換え(カジュアル↔フォーマル)や短文化も一括で依頼しましょう。
このスライド群のスピーカーノート案を作成。
条件:
・全体7分。1枚あたり40〜70秒
・最初に結論、次に根拠→事例→次アクション
・難語は言い換え(例示)を併記
以下の箇条書きを、意思決定者向けにフォーマルへ言い換え。
・語尾は「です/ます」で統一
・1項目は35字以内に短縮
Step5:アクセシビリティと多言語対応もAIで下支え
ライブ字幕・自動翻訳、読み上げ順の整理、色のコントラストチェックなど、
「見やすさ・伝わりやすさ」を最後に整えると、資料の信頼感が上がります。
この発表スクリプトを英語版に翻訳し、簡潔な語彙に調整。
・口頭で噛まずに読める文長(10〜18語)
・専門用語は最初のみ原語を括弧で併記
読み上げ順(Reading Order)や色コントラストに関しても、AIのチェック提案→人の微修正の流れが効率的です。
用途別:そのまま使えるプロンプト集
1. 提案書の冒頭3枚を作る
次の前提で、提案書の冒頭3枚(タイトル/現状の課題/理想状態)を作成。
前提:中小企業のEC新規立ち上げ支援。予算は初期50万、月額20万。
制約:各スライドの本文は90字以内。図解1つを提案。
2. 文字だらけの既存資料を“要点→図解”に変換
この長文を3つの見出しに要約→対応する図解(比較表/フロー/階段図)を提案。
・各図のラベルと注釈文(20〜40字)も
3. トーンを2種類で書き出して比較
このスライド本文を、A:カジュアル、B:役員会向けフォーマル の2案に書き分け。
・キーメッセージは同じ
・Bは主語と述語を明確に、数値は単位つき
4. “締めの一枚”を作る(次アクション提示)
結論スライドの原稿案を作成。
・最初に「意思決定の依頼」を明記(例:トライアル発注の可否)
・次に実施条件(期間/体制/費用)
・最後にリスクと回避策を3点
よくあるつまずきと回避策
- “材料があいまい”問題:前提・対象・目的・制約(枚数・時間)を最初に書く。AIの迷いが減り、質が安定。
- “情報過多”問題:1枚=1メッセージを徹底。要点は3つまで。余った情報は補足資料へ。
- “デザイン迷子”問題:フォント/色/余白のルールを先に宣言。AIには「太字とコントラストで強調」と指示。
- “話しにくい”問題:スピーカーノートを先に作る。時間配分(合計◯分/1枚◯秒)をAIに伝える。
- “英語が堅すぎる/砕けすぎる”問題:聞き手の職種と場(役員会/現場共有など)を指定して言い換え。
まとめ:AIに“段取り”を任せて、人は要点勝負に
PowerPointのAIは、構成の叩き台づくりと、読みやすい見た目への整えがとても得意です。
人は「何を伝えるか」「どこまで踏み込むか」という中身に集中。これだけで作業の重さがスッと減ります。
今日できる一歩は、小さな資料で試すこと。
まずは3枚の“結論先出しミニ資料”から。AIが流れを作り、人が芯を通す──そんな分担で、明日のプレゼンがぐっとラクになります。